以前、小さな本屋さんのブッククラブに入っていたことがある。
一年間、毎月二冊、本が送られてくる。
いくつかの希望は伝えてあるものの、何を選んでくれるのかは店主さん任せのシステムだった。
「ブルッキーのひつじ」もそのブッククラブで届けられたもの。
薄緑地に白い小花が並び、中央にはひつじを抱き寄せるベレー帽の女の子の表紙や、繰り広げられるふたりのやり取りは可愛らしかったけれど、それ以上に何を感じることもなく、その本はしばらく本棚に並んだままだった。
しばらく時間がたって、もう一度同じ本を読んだとき、思いがけない感じ方をしたことがありますか?
ひつじを可愛がるブルッキー。
ひつじが心地よくいられるために、ただそれだけのために。
そのままのひつじのことが好きだから。
たぶん、そういうことだと思う。
当たり前のように思うけど、でもそれって、尊いことじゃないかな。
私には出来ているだろうか?
私にも大好きな人や動物がいる。
ブルッキーのように。
あのとき、どうしてそんな風に思わなかったのか、
そして今は心に響くのか、
よくわからないんだけど。
耳のうしろをかいてやる。
そうしてぴったりよりそった。